ちょっと休憩していかん?

ポンコツな日常と映画

人は皆、変態なのだよ。変態青春映画『月光の囁き』

月光の囁き ディレクターズカット版 [レンタル落ち]

私は、変態という言葉にマイナスなイメージを持たない。

それは全人類、何かしらの変態だと思っているからである。

 

人には言い辛い、または理解してもらえない趣味や嗜好を持っている人たちは、それを秘めて生活している。なんと息苦しいことか。

ただ、普通とはなんだろう?普通の定義は?多数派が普通の基準とすると、そこから外れると、普通じゃないとでも言うか。

 

話は逸れるが、普通じゃないと言うと、1998年公開のダニー・ボイル監督作品の『普通じゃない』と言う映画があったが、主演のキャメロン・ディアスユアン・マクレガーが眩しすぎて、当時の私には刺さらなかったのである。1986年の塚本晋也監督の『普通サイズの怪人』の方が好みである。塚本監督の『鉄男』の原型とも言われるこの作品の狂った18分間が、たまらない。普通じゃないという事でいえば、後者の映画の登場人物の方が尋常でなく普通ではない。

 

話は戻って、甘酸っぱい青春変態映画をご紹介。

それが、

月光の囁き


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1999年公開の塩田明彦監督の映画で、原作は喜国雅彦の漫画である。

主人公のド変態日高拓也役を、水橋研二、北原紗月役をつぐみが演じていたのだが、

好きな女の子のブルマを、スンッってするくらいは、いいじゃない。けれど、好きな子と恋人になった途端、紗月のある音を拓也は録音するのだけれど、それがかなり上級者が行う行為である。しかし、拓也が犬のように愛らしいから、私なら許しちゃうかもだけど、紗月は許さない。この紗月役のつぐみちゃんが可愛らしくて良い!!彼女が徐々に覚醒していく姿も必見。そして

「俺は紗月の犬や!」

と犬宣言までしちゃう拓也がね、愛おしい。

 

この物語は、いたって真面目に自分や他者の変態性と向き合っている、二人の高校生を描いている。だから素晴らしいのだ。

人にはどうしようもないことがある。どんなに頑張っても、直しようがないことがあるのだ。

ただ表面上は取り繕うことはできる。それは本人には、苦しい事である。彼らは剣道部員だ。面を被った状態では、お互いの表情がわかり辛く、顔をはっきり見る為には、距離が近くなければならない。

紗月は拓也と距離を縮めたことで、紗月は本当の拓也を知り、拓也は自分を覆っていたものから解放され、嬉しかったのだ。拓也に戸惑い、嫌悪しつつ結局は受け入れてしまう紗月は、懐の深い女性である。紗月はSに目覚めるのだが、元々持っていたS気質が拓也によって引き出されたに過ぎないのだ。

 

ただ、この主従関係は非常に奇妙なのである。

一見紗月が主導権を握っているようで、実は拓也によって誘導されている部分もある。そこが、拓也の気持ちの悪い(それでいて一番魅力的)部分である。

 

主題歌が、スピッツの『運命の人』!!

爽やかなのよ~。

因みにR15+なので、15歳以上しか観ることができない。