教育の恐ろしさ。狂気の家族愛『籠の中の乙女』
箱入り娘という言葉がある。
この映画は、家と言う箱に入れられた娘・息子の物語なのだ。
親は子供を守り、愛情いっぱいに育てていく(のが望ましい)
愛情とは狂気を孕んでいるものである。
最近よく耳にする毒親や親ガチャという言葉。
子供は親を選べない。
産まれてから色んなことを最初に教わるのは親からである。
自分では当たり前だと思っている事が、他人からすれば異常である場合も考えられる。
この家族は異常だが、親は別に子供たちに愛情がないわけでも、娘たちを苦しめたいわけでもないから余計にたちが悪い。
『籠の中の乙女』は、2009年製作・2012年上映のギリシャの映画である。
監督・脚本が『聖なる鹿殺し』や『ロブスター』のヨルゴス・ランティモス監督であることから、何だか嫌な予感しかしない人も多いであろう。
それは、ミヒャエル・ハネケ監督の映画と聞くと何だか嫌な予感しかしないのと同じである。(ハネケは好きな監督ではある)
ハネケ監督の『ハッピーエンド』と言う映画があるが、数年前に友人からハネケ監督の新作が『ハッピーエンド』と言うタイトルだと教えてもらった時、ハッピーな感じが一切しない予感がした時と同じ感覚である。
実際は、あのラストをハッピーととるか否かは、観ている人によって違うのだろうが、あのラストしかないと私は思っている。
話はそれたが、ホラー映画の様な怖さではないが、終始不穏で不快。(誉め言葉)
怖いと言うか、気味が悪いのである。(誉め言葉)
親は、外の世界は尋常じゃなく危険だと、息子や二人の娘に教えて外には一切出さず育てている。(富裕層なので何の苦労もない)
この家族のルールも怖いし、子供と言うにはあまりに歳をとった子供たちの世間知らず具合も気持ちが悪い。
兎に角、子供は健全に安全に育ってほしい。その気持ちはわかる。
けれど、この映画は愛情を通り越して狂気でしかないのだ。
それにしても、「ロッキー」「ジョーズ」「フラッシュダンス」を観ただけであんなことに
・・・。
そしてあの奇妙なダンス・・・。
ダンスを見て鳥肌が立つほど気持ちが悪かったのは、この映画が初めてである。
残念ながら、18歳未満は観れない。
興味がある人は・・・是非。
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