私の住む貸家は、築50年のボロい家ではあるが、私の好きなものが詰まっているので、気に入っている。
中でもアルベール・ラモリス監督の『赤い風船』(1956年/フランス)のポスターは、お気に入りの一つである。
少年と風船の友情を描き、まるで生きているように動く風船とこじゃれた街並みが素敵。
生きているように自然に動く風船の撮影は、どうやって撮影されたかいまだ謎なのである。
セリフがほぼ無いにも関わらず、映像を観ただけでも2人の友情が伝わってくる上、主人公のパスカルくんがまた愛くるしいこと。
そして色味の美しさ。
どこを切り取っても絵になるとはこのことだ。
カンヌ映画祭短編グランプリ受賞・アカデミー賞脚本賞を受賞したのも納得だが、賞レースには興味が無い。
賞を獲得したから素晴らしいのではない。素晴らしいから結果受賞したに過ぎない。
しかしだ。
このラスト、「うわぁ~綺麗~」でいいのだろうか。
確かに街中からカラフルな風船たちが集まり、パスカルくんを空に連れて行く姿はメルヘンである。
絵的にもキュートである。
が、しかし
パスカルくんは何処へ?
風船にさらわれて、風船の国にいってしまうかもという不安が残るのである。
昔から妙なことが気になる性格なのだ。
街並みはオシャレではあるが、色味が抑えられ風船の赤がより鮮やかに見える。
もしやこの色味のない世界がパスカルくんにみえている世界で、風船の国に自ら行きたいと望んだのではないかとまで想像してしまう有様。
では、築50年のボロ家に飾ってあるポスターを。