終戦記念日と映画『野火』
8月15日は終戦記念日である。
終戦記念日によくテレビで流れていたのが『火垂るの墓』(1988年/監督:高畑勲)だった。
辛くて辛くて観るのがしんどい映画である。
私にとって更にしんどいアニメ映画が『はだしのゲン』(1983年/監督:真崎守)であった。
2016年のアニメ映画『この世界の片隅で』(監督:片淵須直)は戦時中、日常を生きている人々のひた向きさや強さに心打たれた素晴らしい映画だった。
『ひめゆりの塔』(1995年のリメイク版/監督:神山征二郎)、『日本の一番長い日』(1967年/監督:岡本喜八)、『戦場のメリークリスマス』(1983年日本公開/監督:大島渚)など、第二次世界大戦がテーマとなっている映画で、好きな映画はいくつかあるが、個人的に大好きな戦争映画が『野火』(2014年/監督:塚本晋也)である。
元々塚本監督が大好きだと言うのもあるが、映画自体は非常に惨たらしい。
それとは対照的に、広がるフィリピンの風景は、毒々しい程鮮やかで美しいのだ。
この映画は、人肉を食べると言うショッキングな出来事が起こる。
しかし、極限の状態の中で生きる為である。
この映画を観ていると、戦争の無意味さを思い知らされる。そこには勝者も敗者もない。あるのは転がる無残な死体だけだ。
この映画は大岡昇平の小説が元になっており、1959年に市川崑監督により映画化されている。しかし本作はリメイクではなく、塚本監督が20年の構想を費やし制作した映画である。
監督・脚本・制作・編集・撮影・主演を務めた塚本晋也は凄いけれど、この映画に登場する永松(演:森優作)のとあるシーンは、鳥肌が立つほど怖かった・・・。夢に出てきそうなほど恐ろしかった。
残酷描写は多々あるが、今を生きる子供に観てほしい映画である。
私は戦争を知らない。
平和に毎日を暮らし、食べ物に困ることもない。
しかし、明日の事は分らない。迫っている危機に気づかない(気づかないふり)で生きている。
自分が恵まれている事にも気が付かず、平和である事にも感謝しない。
当たり前な毎日が、当たり前に来ると思っている。
ゴジラ映画をたまに見て思うことがある。人間はゴジラを倒そうと必死になるが、そもそもゴジラを生み出したのは誰かと言うことだ。
いつかツケは回ってくるのである。
平和な一日でありますように。
お休みの2曲。
O.P.KING『ミサイル畑で雇われて』
真心ブラザーズ『人間はもう終わりだ』