ちょっと休憩していかん?

ポンコツな日常と映画

眠れぬ夜、孤独を感じると観たくなる映画『息もできない』

たまに孤独を感じることがある。

愛犬がいて、旦那様もいて、成人した子供もいる。

友人は少ないが、心から信頼できる友人もいる。

とっても幸せなことだと思う。

 

しかし孤独と言うものは、誰と居ようが大勢と居ようが感じることがあるのだ。

よくわからない涙がこぼれることもある。そんな時は一人でこっそり泣く。

私は映画『武器人間』に出てくるモスキートより戦闘能力が低い。弱いのだ。

けれど強いフリをする。

要は泣かないのである。鉄仮面を被っている。

2代目麻宮サキ(演:南野陽子)が被っている鉄仮面を心の私は被って、ヨーヨーを振り回しているのである。

仮面の中ではグズグズ泣いているが、決して人には見せない。

 

映画『酔いどれ詩人になるまえに』の主人公チナスキーのように孤独を贈り物だと思えるような人間に生まれたかった。

 

孤独と言えば、孤独を抱えた二つの魂を描いた映画『息もできない』(

2008年/監督:ヤン・イクチュン)は最高の映画である。

息もできない(字幕版)


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心に傷を抱える女子高生ヨニと、父親への憎悪を募らせ社会の底辺で生きてきた取り立て屋のサンフンの奇妙な関係を時にはコミカルに、時には切なく描いている。

この映画は、私にとって特別な映画でもある。

サンフンを演じたヤン・イクチュンの、暴力でしか人と繋がれない訳と、ヨニにだけ見せる涙がぐっとくる。

サンフンがよく口にする言葉「シバラマ」は、糞野郎を意味しており、サンフンは暴力や口汚い言葉でしか自分を表現できない。

私は「糞野郎」とは言わないし暴力は振るわないが、口下手で自分の気持ちを表現するのが下手なので、サンフンを見ていると息苦しくなる。

ところでこの映画、製作、監督、脚本、編集、主演をヤン・イクチュンが務め、自分の家を売って映画を作ったというエピソードにはびっくりだったが、つい最近ブログで書いた映画『嘆きのピエタ』もそうだが、素晴らしい映画を作るのにお金は関係ないのだと改めて思う。

 

何故この映画を思い出したかと言えば、この映画で歩く暴力の様なサンフンが、ヨニの前でだけ泣いてしまうシーンがある。そして勝ち気で涙を見せないヨニもサンフンの前でだけ涙を流してしまうのだ。彼らは互いに何で泣いているのかはわかっていない。ただ寄り添って泣いている。

私は先日、友人2人と久々に遠出した。その帰りに運転していた友人が、「たまにだけれど涙が出る」と言った。急に寂しくなるのだというのだ。

彼女は数年前に離婚して、シングルマザーになった。

気持ちが不安定と言うのもあるのだろうけれど、思わず私も泣いてしまった。

私はこれまで自由気ままな父親のおかげで家庭崩壊したことも、息子の統合失調症のときも、精神科に母や父が入院しても泣かなかった。

しかし、これまで我慢していた事がこみ上げてきて、彼女と私は車内で号泣した。

涙の訳などどうでもよくて、サンフンとヨニのようにただ横にいてくれるだけで良かったのだ。

 

ただ、ばばあ二人の号泣は目も当てられない。

化粧は崩れ、化け物のようになる。

 

彼女が不安で泣いていませんようにといつも思いながら床に就く。

 

今日は寝る前に彼女を思いながら一曲聞いて眠りに就こう。

 


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