ちょっと休憩していかん?

ポンコツな日常と映画

地味だけど、じわる映画①『ウィスキー』

写真を撮る時、「はい、チーズ」という私。

そもそもなんでチーズなんだろう。

 

実はこれ、英語圏で使われていたらしく「Say cheese(チーズと言って)」が由来らしい。

「チー」の発音の時、顔が笑顔になるからみたいである。

 

ところで南米では写真を撮る時「ウィスキー」と言うらしい。

お酒のことではなく、写真を撮る時の掛け声が、映画のタイトルになっている映画がある。

 

『ウィスキー』(2004年/ウルグアイ・アルゼンチン・ドイツ・スペイン/監督:フアン・パブロ・レベージャ パブロ・ストール)

 

ウルグアイで靴下工場を営む初老の男ハコボと、ハコボの工場で長い間働く中年女性マルタ。

長い年月一緒に働いているにも拘らず、二人は必要最低限の会話しかしないのである。

そんな中、ハコボと疎遠になっていた弟エルマンが故郷に帰ることになり、ハコボはマルタに妻のふりをすることを頼む・・・。

 

堅物で頑固、寡黙なハコボと社交的で明るい弟のエルマン。

兄弟のぎこちない感じが面白い。

そしてハコボの事がまんざらでもないマルタだが、ハコボはマルタと距離を縮めることもない。

 

父が残した寂れた工場を継ぎ、年老いた母親の面倒を見ている内向的な独身の兄と、家をでて、他の国で自由に暮らし、仕事もうまくいっている明るい弟。

対照的な二人。

自由気ままな弟が嫌いな兄。

コミカルでありながらもちょっぴり切ない。

 

派手さはなく、大きな事件も起こらない。

しかしそこが良い。

 

それにしても、ハコボが独身なのは見た目がイマイチだとか、寡黙すぎるとかじゃないのよ。

優しさなのよ。

優しさが足らないのよ。

 

この映画は、東京国際映画祭でグランプリ、カンヌ国際映画祭批評家連盟賞などを受賞し、監督のファン・パブロ・レベージャの活躍に期待されていたが、2006年に自死している。

この映画が凄く良かったので、とても残念である。

 

興味がある人は是非