母を探して珍道中。好み過ぎる映画『不思議の世界絵図』
はてさて、私は母を探している。
行方不明って訳ではない。母はずっと心の病で、自分を取り戻す為に入院中である。
今の母は母にして母にあらず。
いや、むしろ今の母が本当の母かもしれない。
ともあれ人間とは不思議な生き物である。
母を探すと言えば、映画『不思議の世界絵図』という映画があるが、この映画は、1997年のスロバキアの映画で、監督はマルティン・シュリークである。
マルティン・シュリークの作品で『ガーデン』という映画がある。これも私の心を掴んで離さない映画である。
『不思議の世界絵図』の主人公のテレスカは、中性的で息を呑むほど美しい少女である。そして人懐っこい幼さの中にも、どこか色気がある。
寄宿舎を追い出され、ざっくりし過ぎている地図を頼りに母を探す旅に出るのだが、出会う人全て変なのである。不思議ちゃんを通り越して、癖の強い人たちばかりなのである。
けれど彼女はいつだって動じる事もなく、相手の懐に入る。
ここが彼女の魅力である。彼女は次々に出会う奇妙な人達の表面上(目で見たり耳で聞いたりする範囲)の奇妙さなどどうでもいいのだ。彼女はいつでも、だれに対しても彼女のままである。
テレスカは少年の様な少女のような純粋さと可憐さを持ち、明るく爽やかな人物だが、たまに大胆な言動をしたり、女の顔を覗かせたりとチグハグで掴みどころがない部分がある。そこが素晴らしい。
ファンタジーというより、ブラックユーモア的な要素が強い映画である。
テレスカはきっとまだ旅を続けているのだろう。
道はずーと続いている。
私の母も私も、人生と言う名の旅はまだまだ続く。
いつか母の行く道と、私の行く道が繋がって、また笑い合える日が来るといいなと思っている。
お休みなさい。