ショートフィルムは良い。
何が良いって短いから時間がない時でも観ることができる。
家事や育児に追われて、忙しいママも10分もない短編であれば、何かの合間に観ることができる。
仕事が忙しい人も、勉強中の学生も、休憩がてら一本観られる。
ホッコリする様な素敵なショートフィルムは数あれど、ホッコリなんてさせてなるものかと、癖の強いショートフィルムについて綴っていこうと思う。
ほとんどが、YouTubeやニコニコ動画などで観る事ができるので、興味がある人は是非。
●『ハーピア』(1979年/ベルギー/9分 監督:ラウル・セルヴェ)
しょっぱなから物々しい雰囲気から始まり、映像や音共に相当気持ち悪い。
音はなんと表現すればいいのか、ニギィニギィみたいな奇妙な音である。
更に気持ち悪いのは、鳥の姿をした鳥人である。笑い飯のネタに鳥人というのがあったが、ネタの中の鳥人の様な紳士ではない。だいぶ気持ち悪い鳥人登場である。
悪夢の無限ループにはまり込み、観ているだけで眩暈がしてくる。
まさか!!のオチにみんな釘付けになること間違いなしである。
是非ともあの気持ちの悪さを体感してほしい。
癖の強さ★★★★★
気味の悪さ★★★★★
面白さ★★★★★
(★はあくまで個人の感想です)
●『フード』(1993年/チェコ/14分 監督:ヤン・シュヴァンクマイエル)
個人的に大好きな監督である。
フードは食事をテーマに3部作(breakfast lunch dinner)になっている。
シュヴァンクマイエルは、食べるという行為に嫌悪感があるのかと思うくらい、食事の描き方が残酷で気持ち悪い。そこがグッとくる。
シュールかつブラックな笑いが好きな人は是非。
癖の強さ★★★★★
気味の悪さ★★★★☆
面白さ★★★★★
●『わからないブタ』(2010年/日本/10分 監督:和田淳)
癖になる映画ってこういうことをいうのかぁってなほどに、癖になるショートムービーである。
わからないブタというだけあって、内容もわからない。
兎に角シュール。
ハマる→困る→何度も見てしまうの繰り返し。和田作品は他にもあるが、どれも総じて癖強である。
これみると、口紅塗った後「ンッパッ!」ってしたくなる。
癖の強さ★★★★★
気味の悪さ★★★★☆
面白さ★★★★★
●『ゴム頭の男』(1901年/フランス/3分 監督:ジョルジュ・メリエス)
トリック映画を作り、魔術師と言われていたのも頷ける。今はGGなどを使えば簡単に不思議な映像が撮れるだろうが、当時観た人は度肝を抜かれたのではないだろうか。
サーカスを見ているようなワクワク感がある作品である。
空気を入れられて、膨らむ頭だけの男が面白い。滑稽だけどちょっと切ない気持ちになるショートムービーである。
癖の強さ★★★★★
気味の悪さ★★★★☆
面白さ★★★★★
●『普通サイズの怪人』(1986年/日本/18分 監督:塚本晋也)
塚本監督の『鉄男』の原型と言われた作品で、勿論主役は『鉄男』と同じ田口トモロヲである。監督の塚本晋也も、『鉄男』同様出演している。
狂った世界観と、癖の強さ・・・大好きな作品であるが、とあるシュールすぎるシーンには、目が釘付けに。
ドリルが・・・。
癖の強さ★★★★★
気味の悪さ★★★★★
面白さ★★★★★
●『失われた朝食』(2015年/日本/7分 監督:キューライス)
繰り返すいつもの日常が、あるちょっとしたことで、狂っていく。
癖になる独特なタッチのアニメーションで描かれる世界が、中毒になる。
癖の強さ★★★★☆
気味の悪さ★★★☆☆
面白さ★★★★★
●『ファントム=幻妄』(1975年/日本/10分 監督:松本俊夫)
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松本監督と言えば、夢野久作原作の映画『ドグラ・マグラ』の監督である。
多くの実験映画を撮っており、どれも古い作品とは思えない斬新さがある。
美しさの中に潜む、毒々しさや生々しさがあり、白昼夢を見た気分になる。
観終わった後、何とも言えない気持ちになる。
癖の強さ★★★★☆
気味の悪さ★★★☆☆
面白さ★★★★★
●『疱瘡譚』(1975年/日本/20分 監督:寺山修司)
- 価格: 4136 円
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寺山修司の実験映画は、この作品以外にも数多くある。
寺山修司の作品(詩やエッセイ、演劇なども含めて)どれも、強烈な寺山の死生観を感じさせる。
寺山修司は個人的に、最も愛する作家でもある。
一度ハマってしまうと抜け出せなくなる魅力がある.。
独創的な、味わったことのない刺激的な世界に飛び込みたい人は、是非。
癖の強さ★★★★★
気味の悪さ★★★★★
面白さ★★★★★
★は、あくまで個人の感想である。
寺山修司の映画エッセイ本に、『さかさま映画論 地球をしばらく止めてくれ ぼくはゆっくり映画を観たい』と言うのがある。
日々忙しさに追われ、ゆっくり映画が観れない人でも、ショートフィルムをゆっくり見る時間はきっと作れる筈である。
たまには一休みして、ショートフィルムでもいかが?