ちょっと休憩していかん?

ポンコツな日常と映画

(いい意味で)気持ちの悪い映画

 

小学生の頃、『魔夏少女』と言う、小川範子が主演の非常に気味の悪い2時間ドラマを見たことを鮮明に覚えている。実際放送された時間にはテレビは見せてもらえなかったので、ビデオで見たのか、録画で見たのか。

今のドラマでは考えられない様なスプラッタ描写もあり、子供だった私はそれはそれはビビり倒したのである。

1987年のドラマだが、役名も付かない気持ちの悪い男役で、永瀬正敏が出ていたのである。

このドラマのほんの少し前に、『ママはアイドル』というドラマに永瀬正敏は出ていて、私を胸キュンさせたのである。

魔夏少女に出ていた永瀬正敏は、永瀬正敏だとわからない程の不気味さであった。

前置きが長くなったが、気持ちの悪い映画というものがある。でもそれはいい意味での気持ちの悪さである。いい意味での気持ちの悪さって日本語がおかしいが、気持ち悪いのに魅かれてしまう映画である。

総じて石井隆監督の映画が、私にとっていい意味で気持ち悪い映画なのである。

特に1988年の『天使のはらわた 赤い淫画』池田敏春監督・石井隆脚本)は、ドラマチックで哀愁が漂っており、最高に好きで気持ち悪い映画である。

また、石井隆脚本・監督の『ヌードの夜』『ヌードの夜/愛は惜しみなく奪う』などは、何とも言えない独特の気持ちの悪さと、切なさがある。

 

そんな中でも、いい意味で気持ちが悪くて好きな映画について、綴って行こうと思う。

ただしあくまでも私の感覚であり、少なからず女性(ばばあ)目線で観ているので、「えっ?」と思う人も多いだろうが、悪しからず。

 

まず一本目は1992年、石井隆監督・脚本の『死んでもいい』

 

永瀬正敏だから許される、人妻に恋した男の破滅的な気持ちの悪さ。若さゆえの暴走はとまらん。(そしてそんな永瀬正敏がたまらん)更に、人妻の名美役の大竹しのぶも、負けず劣らず気持ちが悪い女なのである。じめっとして湿気たような、ねばりつく汗の様なそんな気持ちの悪さと同時に、人間のどうしようもなさが良い感じで描かれていて、大好きな映画である。

 

続いて二本目は1988年、高橋伴明監督の『DOOR』

DOOR

スプラッターが苦手な人は、↓の予告編は飛ばして下さい。


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つい少し前に、デジタルリマスター版をリバイバル上映したと、ネットで見たが、私がこの映画を観たのは、テレビのロードショーか何かである。

開始すぐに、観てはいけないものだと直感した。子供の第六感が危険を感知していたのである。

しかし、好奇心旺盛な私は、今テレビでは絶対流せないであろうスプラッター描写までしっかりと観た。

当時はストーカーという言葉がなく、人妻を狙うセールスマン(演:堤大二郎)の変態っぷりには度肝を抜かれた。そして監督の妻で、靖子役の高橋惠子が美しく、強すぎるものだからそこにも度肝を抜かれたのである。

なにより気持ちが悪いのが、変態セールスマンと靖子の相談にのる警察官・管理人・電話の男、全て同じ声であること。

実際は別人であるのに声は同じである、この上ない気持ちの悪さ。

セールスマンは当初は感じの良い男であり、彼はある一点においては被害者だと言ってもいい。そしてもしあの段階で、靖子が心からの謝罪を行っていたら、男は被害者から加害者にはならなかったのである。

こうした人間ドラマがしっかりと描かれつつも、ずっと不穏な空気が続き悲劇的なラストへと向かっていく。

 

 

 

 

興味のある人は是非観て、独特の気持ち悪さを体験してほしい。